眼科について

眼科は、目と目の周囲に関する病気を全般的にみる診療科で、乳幼児からご高齢の方まで幅広く診療します。私たちは情報の80%以上を視覚から得ていると言われており目はとても重要な器官です。情報の視覚化が進む現代では、しっかり見ることは、日常生活においてとても重要です。パソコンやスマートフォンの普及に伴い、目に対する日常のストレスも非常に大きくなっています。子どもの近視は増加傾向にあり、大人の方も目の酷使によって眼精疲労やドライアイなどの不調を訴える方が増えています。また、高齢化社会においてより高い生活の質を維持するためにも目の健康はとても重要です。

目の症状は些細な症状でも、病気の兆候になることがあります。目に異常や違和感があったり、日常生活でお悩みがある場合は、お気軽にご相談ください。

眼科でよくみられる症状・相談

• 視力が落ちた
• 目に痛みがある
• 目に疲れを感じる
• 目が乾きやすい
• 目にかゆみがある
• 目が赤い
• 涙がとまらない（涙目）
• よく目やにが出る
• まぶしい
• 目を閉じると中で光る
• 見える範囲が狭い
• 視野の中心部が暗い
• ものが歪んで見える
• ものがかすんで見える
• ものが二重に見える
• 片目でみると見えない部分がある
• 蚊のようなものが見える
• まぶた・目の周りに腫れがある
• 眼球・まぶたにできものがある
• 健康診断などで指摘された
• コンタクトレンズを考えている

眼科の対象となる主な疾患

眼精疲労

眼を使う作業を続けることで、目の疲れ、痛み、かすみ、頭痛、肩こりなどの全身症状が現れる状態を指します。最近は、パソコンやスマートフォンなどを使用する機会が増えているため、これが原因となる眼精疲労が増えています。治療としては適度な休息、眼鏡の調整、病気の治療、ビタミン剤入りの点眼薬が有効です。

屈折異常（近視　遠視　乱視）

近視眼は遠くを見るときは像がぼけて見え、近くを見るときは眼鏡なしでもはっきり物を見ることができます。遠視眼は、遠くの物も、近くの物もはっきりと見ることができません。乱視の主な原因は角膜や水晶体の歪みです。焦点が1箇所に集まらなくなり、ものがぼやける状態ですので眼鏡やコンタクトレンズに矯正することが必要です。近年は様々な屈折矯正手術も行われています。

老視（老眼）

一般的には老眼と言われるものでピントを変える力が衰えることで近くのものが見えにくくなる状態です。
新聞など手元の文字が見にくい、ぼやけるといった自覚症状があります。40歳前後から自覚することが多く、眼の調節機能が低下して近くのものにピントが合わなくなります。治療は眼鏡やコンタクトレンズで矯正します。

ドライアイ

涙の不足や涙の質が悪くなることで眼に違和感を及ぼす疾患です。症状は目の乾きだけでなく、目がかすむ、痛い、まぶしい、眼精疲労、ゴロゴロする、涙が出る、目やにが出るなど様々です。長時間パソコンや携帯画面をみる、エアコンによく当たる、コンタクトレンズ装用などが危険因子ですがシェーグレン症候群などの内科疾患から症状がでることもあります。治療は、涙の不足成分を補ったり、目の炎症を抑えたりする目薬や、涙点に栓（涙点プラグ）をして涙をためる治療などで改善を目指します。

ものもらい（麦粒腫）、霰粒腫

麦粒腫は瞼の毛穴から細菌が感染して症状を引き起こします。まぶたが赤く腫れ、痛みやかゆみを伴います。炎症が強くなると、赤み、腫れ、痛みも強くなり、化膿が進行すると、腫れた部分が破れ膿が出ることもあります。治療は抗生物質の点眼や内服を行います。化膿が進んだ場合、切開し膿を除去することもあります。
霰粒腫は涙の成分を分泌するマイボーム腺がつまり、瞼に腫瘤を形成する疾患です。症状は瞼の腫れ、違和感などです。治療は点眼で消炎をはかりますが改善が乏しい場合は手術で霰粒腫の摘出が必要になることもあります。

アレルギー性結膜炎

結膜の炎症によりかゆみ、目の異物感、目やに、涙が出るなどの自覚症状があります。花粉によって引き起こされるものを花粉性結膜炎といい、その代表がスギ花粉性結膜炎で、鼻炎症状が合併する方も多くみられます。通年性アレルギー性結膜炎はダニやハウスダストが原因であることが多いです。治療は抗アレルギー点眼、ステロイド点眼が基本になりますが重症のタイプの方には免疫抑制剤による目薬を使用します。

細菌性結膜炎

細菌感染により結膜に炎症が起こり目が充血し、目やにがでる疾患です。原因となる細菌は様々ですがブドウ球菌、肺炎球菌、連鎖球菌などです。クラミジア、淋菌による重症の細菌性結膜炎のこともあります。治療は抗生剤の点眼で経過を見ますが重症の場合は抗生剤の全身投与が必要になることもあります。

ウイルス性結膜炎

ウイルスにより結膜に炎症が起こり目が充血し、目やにがでる疾患です。原因ウィルスは様々ですがアデノウイルスによる流行性角結膜炎(はやり目)が多いです。治療は炎症を抑える目薬、細菌感染予防に抗生剤の目薬を用います。流行性角結膜炎は感染力が強いためお子様の場合治るまで（充血、めやにがなくなるまで）登園、登校はできません。また医師の診察を受けてからの登校、登園許可となります。

結膜下出血

結膜の血管が目を触ったり、外傷によって破れてしまう状態です。結膜の下に出血が起こりますので目が赤くなります。見た目は派手ですが基本的には1週間ほどで自然に軽快することが多いです。ドライアイ、結膜弛緩を合併していることもあるのでその場合は根本的な治療を行います。中には高血圧、血液疾患によって起こることもあるので再発を繰り返すことがあれば内科で精査が必要です。

飛蚊症

蚊のようなものが飛んで見える、白い壁を見るとすすのようなものが見えるなどの症状になります。多くの場合、加齢によっておこる後部硝子体剥離に伴う硝子体混濁を自覚しています。治療を必要としない生理的飛蚊症であることが多いですが、網膜裂孔、網膜剥離、硝子体出血といった緊急を要する疾患のこともありますので眼底検査が必要になります。網膜裂孔があった場合は放置しておくと網膜剥離になるためレーザー治療が必要で、すでに網膜剥離になっていた場合は硝子体手術が必要になります。

白内障

目のレンズの役割を持つ水晶体が混濁する病気です。原因としては加齢性の白内障が多く、80歳以上の方はほぼ100%白内障があるといわれています。その他の原因としては薬剤性、外傷性、糖尿病性、アトピー性、先天性のこともあります。症状は視力低下、まぶしい、かすみ、物が二重に見える、眼精疲労など様々です。初期の白内障でしたら目薬で進行を遅らせることができますが、進行すれば手術が必要です。濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入する方法が一般的に行われます。術後も炎症抑制、感染予防のためにも点眼治療がしばらく必要になります。

翼状片

結膜由来の増殖因子が角膜（黒目）に侵入し角膜の一部が隆起し白っぽくなってしまう疾患です。
原因は加齢、紫外線によるものと考えられています。薬物療法では進行を抑制することが難しく、瞳孔に翼状片が迫ってきたり、乱視が悪化するなどの所見があれば手術によって翼状片を切除します。再発リスクもあるため術後も再発予防のためにも点眼治療がしばらく必要になります。